Chapter 1: An Interview

56 2 1
                                    


「ではホーキンズさん、ミーティングルームまで来てください」

「はいっ・・・」

心臓がドキドキと鳴る。いよいよ自分の番だ。私、クレア・ホーキンズには、これからインターンシップのための面接が待っている。

初めての面接なので、緊張している。私はミーティングルームのドアの前に立った。お祈りをしてから、軽く深呼吸をした。

(しくじりませんように・・・)

そして、ドアを2・3回軽く叩き、中に入った。

「失礼します」

「どうぞ」


ミーティングルームには男の人が座っていた。私の目の前に座っているのがアスター・グレゴリーさん、私がインターンとして働きたい会社、ウィステリアの総務だ。

ウィステリアはコーヒーショップやレストランなどを経営していて、マネジメントをしている会社だ。アスターさんは以前セミナーのスピーカーとして私たちにビジネスマナーや、仕事をする際に気を付けなければならないことなどのレクチャーをしてくれた。インターンシップの仕事の前に学ばなくてはならないことがたくさんあるので、私たち4年生はみんなこのセミナーに参加していた。なのでこの人のことはよく覚えている。

わたしは軽くお辞儀をしながら用意された椅子に座った。アスターさんがじっと私の顔を見ている。何か恥ずかしいんですけど・・・。

「緊張、してる?」まず最初に口を開いたのはアスターさんだった。

「はい、少し・・・」私はそう答えた。

「大丈夫ですよ、少し質問をするだけですからね」彼はそう言って微笑んだ。

「はい」

私は、はい、はい、と答えることしかできなかった。

(やばい、微笑んだ顔もかっこいい・・・)


アスターさんは私の憧れの人だ。私がこの会社を選んだ理由は、アスターさんがいるからだった。私と3・4歳しか年は離れてないのに、話すのがすごく上手くて、伝えたいことがすぐに理解できる。

しかもウィステリアに働いている先輩によれば、仕事もできるし、優しいし、すごく頼りになる...らしい。あとかっこいいし!完璧でしょこれは!

「では、面接を始めます。よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします」

妄想が膨れ上がって破裂してしまう前に、面接が始まった。

質問の内容は、自分の長所や短所、なぜウィステリアに入りたいか、自分の将来の夢や、大学で一番心に残ったことなど、話しやすいことばかりだったので、緊張がどんどんほぐれていった。


「じゃあ、これで終わりかな?」

ついほっとして、頬を緩めた。

「大丈夫?どうだった?」アスターさんは少し笑いながら聞いた。

「少し緊張しました。初めてだったので、面接はすごく難しいものかと思いました」

「そんなことないよ、少し質問するだけって言ったでしょ?」

「はい・・・ありがとうございました」私はそう言い、立ってぺこりとお辞儀をした。

アスターさんも椅子から立ち、

「こちらこそ、ありがとうございました」そう言ったあと、アスターさんは上半身をかがめて、私の顔に近づき、にこっと微笑んだ。

えっ・・・

私は彼の急にしたことにびっくりして、目がまん丸になった。

アスターさんは私のリアクションに驚いたのか、

「ちょっと、本当に大丈夫?」と聞いた。

「はい!大丈夫です!あ、ありがとうございました!」


私はそう言ってミーティングルームのドアを開け、失礼しました、といい、ドアを急いで閉めた。


私はウィステリアの近くにあるモールまで走った。とにかく走った。どうリアクションをすればいいのかわからなかった。何だったんだろうあれは・・・。

面接の結果は・・・自分で言うのもなんだけど、うまくいったと思う。ウィステリアはコンピュータスキルがある人を探しているらしい。私もコンピュータには自信があるから、そこはアピールしといた。

でも・・・緊張がほぐれたはずなのに、最後の最後でドキドキがまた戻ってきた。そんなに大丈夫に見えてなかったのかな?と思いつつ、とりあえず私はご飯を食べることにした。

(受かりますように!)

これから大変なことが起こるとは知らずに・・・



「へぇ、クレア・ホーキンズ、ね」



You've reached the end of published parts.

⏰ Last updated: Aug 30, 2018 ⏰

Add this story to your Library to get notified about new parts!

ウィステリアの黒騎士さまWhere stories live. Discover now