自制心 ──── 西村力

17歳𝗦𝗔𝗜𝗧𝗢 𝗞𝗔𝗭𝗨𝗬𝗨𝗞𝗜授業をぶらぶらと過ごし、リハーサルをサボり、東京の落ち着きのないネオンの夜空に溶け込むように、彼女はいつも自分の人生の中で幽霊のように感じていた。何かを感じたい一心で、彼女は部屋で一人サルビアを吸う。それから45分間、彼女は自己意識を解きほぐし、新たな存在へと繋ぎ直す旅に出る。

彼女はカズユキとしてではなく、ヘジンデジャブのように響き渡る異国の街に住む、自信に満ちたミステリアスな少女。この夢のような世界では、時間は奇妙に折り重なり、何ものも長く形を保てない。ヘジンはユキとは正反対の全てを持っている。大胆で、優雅で、恐れを知らない。彼女はここにいる。

𝗡𝗜𝗦𝗛𝗜𝗠𝗨𝗥𝗔 𝗥𝗜𝗞𝗜 19歳。人を惹きつけ、非現実的ですらある、故郷のような笑顔のダンサー。ヘジンにとって、彼は過去であり、現在であり、そしてもしかしたら未来でもある。二人の愛はゆっくりと燃え上がるものではなく、野火のように激しく、陶然とし、忘れがたい。しかしユキは、この世界が記憶、憧れ、そして幻覚の断片で紡がれていることに気づき始める。そして、リキはもしかしたら、その世界の中にしか存在しないのかもしれない。

𝙏𝙒、言及内容：自殺、薬物乱用、
重度の精神病、アルコール乱用、
摂食障害、同性愛嫌悪