それらしく

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いしころのうらがわをよくみてみる――いた。

やっぱり、いた。


にさんのくろいダンゴむし。


ゆびでつつけば、ころころと。

じかんがたてば、のそのそと。


くものすきまからよくみてみる――いた。

やっぱり、いた。


にじゅうにさんのあおじろいわかもの。


ひかりをあてれば、どきどきと。

あとをたてれば、びくびくと。


「お。いきとったんかい」


ダンゴむしがながいねむりをきりあげて、いしのうらからはいでてきた。

なみきどおりのむこうからやってくる、やせこけたわかものをまぶしげにみつめている。


「ひさしぶりじゃのう。きょうはまためずらしくおでかけかい。え?」


せいねんはまえかがみで、しんけいしつにタバコをふかしている。

しっけたあきのなかをさっさととおりすぎていく。


ダンゴむしのありなしのくびは、ひだりからみぎへねじまわる。

タバコのけむりだけが、コミュニケーションけつじょのうめあわせにもやもやと。


せいねんのかんじょうをぎそうしてみえなくもない。


「なんだいなんだい。もういっちまうんかい。んじゃ、わしゃもうひとやすみするかな。なんにもいいことありゃしないしな。おっとっと」


ひしゃげたすいがらがきれいなひせんけいしゃぞうをえがいて、ダンゴむしのきんじょにおちた。


「ま。あんまりむりしないようにな」


せいねんは、つゆしらない。

くろびかりするせなかをみせて、いしのうらにかえったダンゴむしのことなどは。


アスファルトのいってんにひとみをていちゃくさせて、せかせかあるく。

いそいでいるいんしょうをあたえるけれど、いくさきはない。


たにんのあしでうすぐらいうらみちへまわる。


きっさてんのドアがある。

ノブらしきぶぶんをひく。


いちもくさんにカウンターせきにむかう。

くうせきをみつけたから。


ひととひととのあいだにじんどるかたちになった。


まずい。


と、ふたたびドアがかちゃり。


なにかがおこってる。

こえがする。

しってるひとたちだたぶん。

まるまっておかなきゃ。

ちかづいてきた。

きっとまうしろにいる。

とうめいでいるのになんでだろう。

しょたいめんのいとにしがみつこう。

それらしく  A Short Story Written Only In Hiragana And KatakanaWhere stories live. Discover now