パンプスとブーツ

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私の大学生活には問題なんてない。人間関係もよく行ってるし、困ると思ったことは一度もない。毎日のんびりとマイペースで進めるし自由だ。人の人生には刺激が必要だと云うが、何故?まだ若いけど、美容や肌や成長には気をつけてるし、修羅場などない。青春楽しんでないから?いや、高校時代と変わらず私は毎日奈央、凛ちゃんと百合ちゃんと一緒に大学生活を送ってるけど。そんなのんびり屋の私に本当の刺激を与えたのはまさかのSilver Stainの三浦拓海に会った時だ。だからこの章のタイトルは「パンプスとブーツ」なのだ。わからない?私はあの合コンの日にはパンプスを履いていて、拓海さんはブーツを履いていた。でも、パンプスを履いていなければ会えなかったかもしれない。

「合コン?奈央、珍しい。」

「そうそう!合コン!二人、一緒に来てくれない?」

「なんでよ。面倒癖。」凛ちゃんがまた拒否しようとするが・・・

「りんりん、相手は驚くべきの方達!」

「何それ、モデル?まさか、芸能人?!」

「ふぇふぇふぇ・・・そうなのさ。まさかのあのSilver Stainのメンバーだよ!」

「えっ?!!!!!!」

私も流石に驚いた。だってあのSilver Stainだよ!高校時代はものすごくハヤってて、私達の王子様みたいな存在・・・信じらなかった。でも、あの時は本気に好きではなかった。何百万人のファンの中の一人だったから気づいてもらうわけない。でも何と無く面白そうで結局参加することにした。

Silver Stainのメンバーはただのロックバンドじゃない。明らかにイケメン男子集団なのである。その上、ベーシストの孝也(たかやん)は本格的に俳優活動をしていて色んなドラマや映画に出演していて、グループの中で一番積極的で大人の存在。ドラマーの京介(きょうちゃん)はファッションモデルをやっていてショーに出たり、雑誌にもよく載っていて、ミステリアスなのによく喋る。ギターの智は若いのに自分の深夜のバラエティ番組を持ってて、時々メンバー全員で出ていて、智(さとっちゃん)はSSのお笑いタイプ。最後に私が一番好きのヴォーカルの拓海。拓海はヴォーカリストとしても憧れていて、パワフルで優しい声で、一番ニコニコする元気をくれる声。チャーミングでファンに対して親切だし、一回一緒に写真を撮ってもらった時があり、サインもくれた。

その当日、まるで運命のように日が訪れた。前持って奮発して買った服を着た。春の季節に合わせてクリーム色の襟にリボン付きのブラウス、プレーンブラウンのスカートにちょっと高いベルトを巻いて。メイクは女の子ぽくピンクを少し塗ってみて、唇はライトなオレンジ。いつもストレートにしてるこの天然パーマの髪をそのままにしてみた。案外似合ってたから、三人も余程驚くでしょう、大学に入ってから完全にイメチェンしたけど、たまには高校時代みたいに懐かしく幼くしてみた。

バッグの中は・・・スマホ、メイク道具、生理用品、ポーチ、財布、カード、香水・・・よし。

最後にあのパンプス、真っ白な皮のパンプスを履いて・・・

* * *

運が悪いな・・・クソっ、なんでこんな時に・・・新しいパンプスを履くんじゃなかった!靴荒れするってわかってたら!・・・痛っ・・・絆創膏持って来てないや・・・どうしよう。しばらく歩けないし。歩き方がすごく変に見える。絶対に人が見てる。うぅっ!

痛っ!うぅぅ・・・歩けない・・・もう転んじゃった・・・恥ずい!でも立てないから仕方ないよね?どうしよう・・・遅刻しちゃう。

「あの・・・大丈夫ですか?」誰?後ろに振り返ってみると、サングラスをかけた私くらいの年の男の人。ちょっとロックパンクっぽい服を着てて、なんかかっこいい。

「いえ、大丈夫です・・・」

「いや、大丈夫じゃないでしょ。だって足、痛そうですよ・・・」

「本当に大丈夫です!お気づいかいありがとうございます。」

恥ずかしいからもう立とう。流石にもう大丈夫でしょ?立ち上がってみると、またバランスを崩して倒れてしまった。

「・・・送りましょうか?」

「えっ?」

「肩、貸しますよ。」

「いえ、でも・・・」

「可愛い女の子を怪我したまま放って置けるわけがないんですよ。さあ。」

「じゃあ・・・失礼します。」

言葉に甘えてこの人に頼ってしまった。親切だな。こういう服を着てる人でこんな性格って合う?誰にも構わず親切にしてくれる人って拓海みたい。

「あっ、あの、あそこの喫茶店です。もうここで・・・」

「えっ・・・」

「?」

「僕もここに行くつもりだったんです。」

「えっ?」

「恥ずかしいんですけど、仲間に合コンに誘われて、付き添いなんです。」

「合コン?実は私もなんです!」

「へえー!お相手は?」

「もう信じられないんです!Silver Stainのメンバーなんですよ!」

一瞬空気が渇いて彼が無言になった。どういうこと?その突然、サングラスを取り、正体を明かしてくれた。私の心の中は恥ずかしさと嬉しさと緊張感・・・数え切れない数の感情が湧いていて、困難した。まさかのまさか?こんなセダメでよかったのか?

「あの・・・気が少し早いですけど。Silver Stainの三浦拓海です。なんて、入ってから言うべきでしたね!」

「はっ!く、く、黒木・・・す、す、す、すみれです!!なんか、助けて貰って・・・すいません!」

「はははは!当然の事をしただけですよ!」

「で、で、でも!芸能人なのに!」

「別に芸能人だからと言って、人助けてをしてはいけないというルールはないですよ。最終的には僕は普通の人なんですから。」

ちょっと気持ちが落ち着いてきたら、喫茶店に入ることにした。席を探すと、もうみんなが来て居た!

「おい!拓海!遅いぞ!あっ・・・合コンつったにに可愛い子連れて来たのか?ずるいぞ!」と手を振って孝也がムードを作ってくれた。

「こいつ!合コンの前にナンパして来たな!この野郎!」

「いや、拓海にはナンパする度胸なんてねえよ。」と智と京介が掛け合い出した。

私は何を言えば良いのかわからなくて、立ち止まっただけだった。

「黒木さんは道で怪我したから俺が助けただけ。ね、黒木さん。」

「は、はい!そうです!」

「てか、名前をもう知ってるのか?早すぎじゃね?」と智がまたからかう。

要約収まった時に席について、私は拓海さんの前に座った。座った瞬間にまたまた女子にからかわれた。

「すみれ、計算したの?」奈央が言うと、「いや、本当みたい。足赤いし。」凛ちゃんが私の代わりに答えてくれた。

「さて、自己紹介しましょうか!」孝也がムードを作ってくれた。

「俺は早見孝也、ベーシストです!」

「俺は井ノ原京介、ドラマーです。」

「ギターの綱島智です。」

「ヴォーカルとギターの三浦拓海です。」

女子の版に切り替わった。奈央は自信溢れて言っていた(わざわざ練習して)。それで段々雰囲気が冷静に流れた。

「佐倉奈央です!今日はありがとうございます!」

「浅野百合でーす!」

「岡本凛です。よろしくお願いします。」

「黒木すみれです。」

始まった瞬間、みんなペアに分かれて会話を始めてしまった。食べ物を待つか・・・何をすればいいのかわからなかった。初めての合コンだもん。

「俺、こういうの慣れてないんです。ヴォーカリストなのにこういうイベントは苦手なんです。」他の六人を見ながら拓海さんが会話を始めてくれた。

「私もです。初めての合コンなんで。」

「よかった。俺一人じゃなくて。」

そうか。拓海さんも初めてなんだ。

「黒木さんは何処の大学に?」

「あっ、私は青蘭の芸術学部です。三浦さんは?」

「拓海でいいです。苗字で呼ばれるの慣れてないので。でも偶然ですね。実は俺も青蘭なんです!学部近いですね。俺は文学部なんです。」

「本当ですか?こんなに近いとは思いませんでした!どのコースですか?」

「俺は英米コースです。上手くなんですけど。黒木さんは?」

「私は声楽コースです。拓海さんみたいにプロのアーティストを目指しているので。」

「そうですか!」

意外と大学の話から会話が弾み、以前までは遠いい太陽のような芸能界の一番輝く存在がうーんと近くなり、同世代の普通の大学生という印象に変わっていき、緊張感が減って来て、仲良くなれそうと感じて来た。こんな偶然、滅多にないよ。

本当の君はまだ知らない。Where stories live. Discover now