フェイト ブラッド カオス/ Fate Blood Chaos

第3章。Are You Ready??

アヤメ: どうやら目的地に着いたみたい。さて、今からこの街を統治している魔術師一家の住所を探してみよう。うわぁ！あれに見えるのはポポカテペトル山か。富士山を思い出すなあ...まるでメキシコ版の富士山だね。ポポカテペトルさん、こんにちは！このブレスレットを手に入れてよかった。見た目には分からないけど、これはスペイン語の上達を助けてくれる魔術コードなんだよ。ホラ、アミゴウス、アミィ、メー、グスタ、エル、ブリトー、グランデー。上手くいったと思う。

アヤメのスペイン語はひどくて、まったく意味が通じなかったが、幸運にも彼女の友人の一人は、便利な魔術コードを作るのが得意だった。

::: メキシコ、ポポティトラン、南の外れ :::

一人の謎の男が現れる。彼はもう囚人の服を着ていない。ここは小さな貧しい地区で、家はコンクリートで作られていて、ほとんどが未完成。道は未舗装で、街灯もない。

？？？: くそっ、開けろ、このドア！3年ぶりだな、ここに戻ってきたのは。

男は力づくでドアを開け、小さな家の中に入った。その音が家の中の誰かを驚かせた。

？？？: 誰だ？警告するぞ、武器を持っている！警察を呼ぶわよ！

女は恐る恐る懐中電灯を持ち、誰が家に侵入したのか見ようとする。手にはマチェテを握っていた。

？？？: 落ち着け、ロサだ、俺だ。

ロサ: あなた！ここで何してるの？

彼女の目には涙が溢れ、信じられないような表情を浮かべていた。

ロサ: なんで？なんであなたがここにいるの、エドゥアルド？

彼女は感情的になり、声が震えた。

エドゥアルド: お前に会いに来るしかなかったんだ。出るしかないと思ったんだ。

ロサ: でもエドゥアルド、あなたは犯罪者よ。脱獄なんかして、追われるわ。そしてもう二度と自由にはなれない。

エドゥアルド: そんなことはどうでもいい。あれから3年も経ったんだ。

ロサ: あなたは人を殺したのよ、エドゥアルド！殺人と強姦の罪で追われているのよ！

ロサは泣き止むことができなかった。エドゥアルドの存在が彼女には重すぎた。

ロサ: あなたは来るべきじゃなかったのよ！そこに留まるべきだった！

エドゥアルド: 何を言ってるんだ！

（著者注：大文字でのテキストは、キャラクターが叫んでいることを示しています。これにより、よりドラマチックに見えるようにしています。）

エドゥアルド: 俺がやったんじゃないって知ってるだろ！あいつを殺すつもりだったし、もう一度でもやる！でも、娘には指一本触れてないって誓う！

エドゥアルドは涙をこらえきれず、膝をついて地面を見つめた。彼の声は大声から静かなすすり泣きへと変わった。

エドゥアルド: 俺は彼女を愛してたんだ！彼女は俺の全てだった、俺の人生、俺のプリンセスだった。お前たちは俺の家族で、俺にとって一番大事な存在だったんだ。

涙が乾き、彼の表情は突然変わった。悲しみと無力さを表していた目が、暗く、怒りに満ちたものに変わった。

エドゥアルド: もう何もできない。俺はやつら全員を見つけ出し、必ずや報いを受けさせる。俺は全員を消すんだ。

ロサ: やめて、エドゥアルド、お願いだから忘れて。

エドゥアルド: すまない、ロサ。でもそれが俺が脱獄した唯一の理由だ。俺はあの人間たちが街にいることを許せない。誓ってやつら全員を殺してやる！

エドゥアルドは、その夜、元妻の家に留まった。

::: メキシコ、ポポティトラン市、ヒンホテル :::

アヤメ: 準備はすべて整った。住所も手に入れて、このホテルにも落ち着いた。今は夜の9時だけど、全然眠くないわ。日本では今頃昼間だものね。さあ、始めましょう。もし間違ってなければ、儀式がすでに始まっているはずだから、ここでサーヴァントを召喚できるはず。そうよ、無防備で現れるのは危険だもの。まずサーヴァントを召喚しておいたほうがいい。それが私にとって大きなアドバンテージになるわ。さすがアヤメ、やっぱり世界でも有数の魔術師家系の後継者だものね。

アヤメは建物のテラスに向かう。

アヤメ: メキシコにこんなにも大きくて美しい都市があるなんて、知らない場所を判断するのは避けるべきだわ。さて、ここに水銀を置いて、魔術召喚陣を描くのよ。水銀を手に入れるのは高くついたけど、鶏を犠牲にするなんて野蛮だし、そもそも可哀想な鶏たちには何の罪もないじゃない。

アヤメは建物のテラスに魔法陣を描いた。普通の人はこんな場所に来ることはできないが、鍵に魔力を注ぎ、数人の従業員を催眠術にかければ、何だって可能だ。

アヤメ: 完璧、これで召喚陣は整った。あとは宝石と呪文を...ちょっと待って、私は円の中央に立つべき？それとも前に？もし前に立ったら、サーヴァントはどこに現れるのかしら？ふぅ、危うく馬鹿な間違いをするところだったわ。あんなことをしてたら、サーヴァントに「こいつ間抜けだな」って笑われちゃうかも。よし、よし、準備完了ね。

アヤメは準備を整え、右手に宝石を握りしめながら目を閉じ、詠唱を始める。

アヤメ: 銀と鉄よ、 礎の石よ、契約の大公よ。 大いなる師、シュヴァインオルグに名を借りて、我が声を聞け。 降り来る風は壁となり、 すべての方位の門は閉ざされ、冠を越え、王国へ至る三つの枝の道が巡らんことを。 閉ざされよ。閉ざされよ。閉ざされよ。閉ざされよ。閉ざされよ。 五度繰り返される完璧なるものよ。 そして今、満たされた刻印が我が身をもって消滅する！ 汝の身体は我が支配に委ねよ、汝の運命は我が剣に宿れ。 聖杯の呼び声に応じ、我が意思に従うならば、その誓いを果たせ。 ここに誓う。 我は全ての天の徳を担う者。 我は全ての冥府の悪を覆う者。 汝よ、七つの天よ、三重の言葉を纏い、 その拘束の輪を越え、均衡を守る手となれ。

::: ベタンクール邸 :::

ジョナサン: すべて整った。ここで始まり、そして終わるんだ。

ジョナサンは地下室にいる。霧が辺りを覆う中、霧から細身の女性の姿が現れる。彼女はオレンジ色の髪を持ち、威厳ある声で彼に語りかける。

？？？？: それで...あなたが私のマスターなの？