1:王道ファンタジー

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第一夢

剣と魔法と、魔王と勇者/オリジナル

目に前に立つのは、HP・MP自動回復の衣を身に纏い、刮目すべき世界に一つしかない魔法剣を持つ厳つい顔をした男。

その注目すべき剣は装備することで一切の状態異常、攻撃魔法、弱体魔法、特殊攻撃を無効化キャンセルする。さらにこれで攻撃を加えた場合、対象の特殊能力アビリティ、防御能力、付加魔法をすべて無効化キャンセルする、当然回復も不能とする無敵の逸物。

が、

もっと詳しく言うなら、隊長の打撃と斬撃でぼろぼろになった衣を引っ掛けて、きっくんとあろまの連携攻撃で刃こぼれしている剣を地に突き立て、片膝を着いている瀕死間際の、魔王サマ。

うん、勝ったな。

確信を持って、杖を下げた。

隊長の怪力と速さを使い、連打とナイフの斬撃で襲い、魔法無効の衣をタダの布切れにした。

魔法剣には、きっくんが得意の無駄なアクロバティック攻撃、ーーーつまるところ、ただの大剣の攻撃ーーーと、あろまのレイピアでの連続攻撃を、偶然の連携攻撃で耐久力を削り切った。

これで、魔王サマは殆ど無効化した。

あいつらの攻撃は唯の「レベルを上げて、物理で殴れ」を地でいくものだから、魔法剣の効果は意味がない。

更に、魔力も隊長の魔力吸収・メガトレイン(きっくんがふざけて名付けた)で殆ど吸い取った。

これも、スキルというより体質のようなものだから、無効は意味がない。

因みに俺は魔王サマの魔法を一つ一つ相殺してた。不可能に近い行為だが、異世界人補正(チート)と、有り余る魔力、つまり、枯渇知らずだから出来たことだ。

何と無く、シューティングゲームみたいだったのは、秘密だ。

ああ、でもやっとだ

ここまで来るのにどれだけ、苦労したことやら

俺は、1年と3ヶ月前を、....---ごほん! ウソです盛りました。半年前です

ぼんやりと半年前を走馬灯のように思い出す。死んでないけどね!

----

「成功だ!」

「勇者様が召喚された!」

「さすがは姫様!」

「姫様のお陰で世界は救われますぞ!」

四人で実況を撮っている最中に、眩しい光が溢れて思わず目を瞑ると、もうそこは、

「......異世界でしたってか?」

「おいデブ、ここはどこだ」

「何これ?まさかよくある異世界召喚!?」

「...よくはないと思うよ、きっくん」

そんで、混乱してる俺らに無理やり、変な泉に浸らせて(眩しいだけで、濡れることが無かったから良かったんだけど)、オウサマとご対面した。

「よくぞ、参られた勇者よ。余は、.....」

(はっ!? これマジで異世界召喚??)

(これがドッキリだったら、金の無駄だべや)

(.......)

(隊長ぉ〜、興味ないからって寝んなよ〜)

(...寝てない)

(嘘こけ!)

(よっしゃァ!俺様の時代だな!)

(うるさいきっくん!)

「〜ということだ、引き受けてくれるな?」

「ぅええ! あ、はい!」

「おい!このデブ!」

何も聞いてなかった俺がyesman故に返事をしちゃって、あろまに罵倒されたり。....あろまだって聞いてなかったくせに。

因みにえおえおだけ聞いてた。寝てなかったんすね、隊長!

「かっちょいーから俺勇者がいー!」

「...じゃあ、きっくん勇者ね。俺は戦士かな。楽そうだし、魔法面倒そうだからー」

「んじゃあ、面倒な魔法はFBな。俺剣士な」

「えっ?! 待って、意味わかりゃないよ?!」

「わかりゃない」

「うっせー!」

殆ど直感で役職決めたり。僧侶がいないのは、俺らのチームワークの無さからから察してくれ。しかし、俺が魔法一択なのには異議あり!

「おーいふぶー、これお前のっしょ? 可愛くしたったで!」

「あははは、こ、れ、正しくFBのだべ、はははっ!」

「待てきっくん、あろま。よく見ろ。その絵は、完璧じゃない。これをこうしてっと...」

「お前ら....なんか俺の武器が魔法少女の杖になってるじゃねーか!」

まさかの杖を改造されたりと、気の抜けない日々だった。改造を元に戻すのが辛かったわ....。

城から出てもよく分からんイベントばかりで、退屈しない旅だった。そういえば、村長を決める決闘で何故かきっくんが出てたな....。いつの間にか黒魔術の会合に混ざっちゃって、王都襲撃をしかけたり。

騒がしかったなー、いつも。

「これで終わりかなぁ....」

遠い目で思わず言うと皆がこっちを見た。

喧騒の中にポツリと零した言葉がこんなに響くとは思わんかった。

おーい、お前ら魔王フルボッコ中なの忘れてるー?

何と無く焦った。

「え?何みんにゃ?」

「んーにゃ、別にぃ〜?なぁ?」

「おお、別になぁーんも無いべ」

「...お前変なとこで、寂しがり屋だな」

「はあ?! ふざけんな! アホなきょと言うな!!」

「きょと」

「図星差されたからって噛むなよ」

「アホなきょと」

笑いを含む言い方で、からかわれた。

何と無く気恥ずかしくなって、怒鳴る。

んだよ、別にいーだろ!!

その時、俺だけが気付いた。

あいつらの足元にいたそいつは、俺を睨みながら、単語詠唱(ワンスペル)を小さく唱えた。

そして魔王の血が、いつの間にか組み立てられてた魔法陣に触れてた。

< 転移陣 "発動" >

「陣を壊せーーー!!」

「え!? 何?!」

「なっ! まだこんなに魔力が...っ!」

「! 離れろ!」

カッ!

俺の言葉にみんなが急いで魔王を見るが、遅かった。まるで、召喚時のように眩しい光が溢れる。

「くっ! きっくん! あろま! えおえお!」

辛うじて開いた薄目から、時空移動の魔法が俺らを飲みこんでいくのが見えた。

そして、気が遠退いた。

***

静かになった空間には、魔力の枯渇で干からびた骨だけが残った。

これが全ての始まり。

普通はこのまま俺らは元に戻るはずだったが、魔王は行き先を指定しなかった。

さらに、少し違う、送還陣ではなく転移陣を使ったもんだから俺らは帰れなかった。

ここから、長い夢が始まった。

*******

チート済みの四人です

なんでもできる感じだと思ってもらえばおkです

俺たちが最強Wo Geschichten leben. Entdecke jetzt