第壱章 出逢い

791 34 12
                                    

 春。皆が期待に胸を膨らませて,新しい環境へ旅立つ春。でも私は,新しい季節なんて,期待なんてしていなかった。
 こんな白黒の私の世界なんて,季節なんて関係ない。そう,貴方が私の前に現れるまでは......。

 初めまして。私の名前は,山崎夏美“やまざき なつみ。 YAMAZAKI GROUP令嬢。世界中多数の会社を持ち,数千人の社員を持つ会社の一人娘。豪邸に住み,数十人のメイドに数十人のボディガードに囲まれて育ち,幾つもの習い事に,休日に成れば海外へ滞在。と何も苦痛無く裕福な環境で育ったいわばお嬢様だ。

 そんな環境で育った私は,家には常に親がおらず,何時も数十人のメイドに数十人のボディガードに囲まれて,一人娘だったせいか,常に周りから期待され,周りからのプレシャーに押し潰されそうな毎日。幼い頃は,常に部屋に閉じこもり,お嬢様としての教育を受け,外の世界に憧れていた時期も有った。だが,成長するに連れて私の世界は,白黒へと変化していった。そんな詰まらない世界。

「はい。もしもし夏美?貴方,昨日言った事忘れたの?今日は忙しいから電話かけないでって言ったでしょう?貴方は何時もそうね。少しは,お母さんの身にも成ってよね....。」

プチッ

電話を切る夏美。

夏美 (何時もそうだ。電話を掛けるたび,決まって言う言葉“忙しい”そのKeywordは,何百回何千回聞いたんだろう。)

執事「お嬢様。お支度を....今日は,入学式で御座います。此方が制服になります。おや?お母様にお電話ですか?此れは此れは,偉いで御座いますね。」
夏美「そんなの居無いわ!!」
執事「お嬢様!!!」

困った顔で言う執事。

夏美 (其れは本当の事。私にとって両親なんて居無い様なもの。此れまで両親と過ごした時間なんて.....。)

執事「お嬢様。車の用意が出来ております。」
夏美「分かったわ.....。」

無駄に大きなテーブルで一人で朝食。そして,高級車へ乗り学校へ通学なんて詰まらない毎日。

 Hello! Hello! 私から世界へ応答願います。
私達のコードは,正しく繋がってますか?
私の詰まらない白黒世界は,正しく回転しているもよう。 System all green....。Communication,不全...。

執事「お嬢様。着きましたよ?下校にて...。又。」
夏美「アリガトウ.....。」

此処が私の新しい学校“華園学園”。
日本全土にいるトップクラスの生徒が入学する学校。
セレブ,天才,権力者,すなわち私のようなパーフェクトな生徒が集まった学校だ。此処で,私の学生としての幕が始まる。

夏美 (新しい制服に新しい学校...。有りがちな新入生の気分に成った方がイイのかな...。)

女子生徒1「もしかして,あの子じゃない?」
女子生徒2「えっ,何処?本当だ...。夏美様だわ!!」
女子生徒3「何時見ても美しいわ。」
女子生徒1「Straightな黒髪に,黄金な瞳,紅色の唇に,perfectなbodyline...。」
女子生徒2「そしてキリッてしていて,何処となく謎めいた女って感じで,ガツガツしていなくて,cool typeの姉様...。素敵!!」
女子生徒3「キャー!!手を振っていらっしゃるわ!?」
女子生徒1「笑顔も素敵!!」

夏美 (ガツガツして居無いのは,何も期待して居無いだけ...。笑うのは,只の動作。誰にも出来ること。)

 もし,私が生きて居る事は,何処の誰かが書いた“SHINARIO”の数千人,数万人,数億人の中の一人の役者で有り,其の“SHINARIO”のために私は,此の世界に産まれ,山崎夏美としての一生の役を遣って居る訳だ...。其の何処の誰かっていうのは,いわば神様だ。まあ神様って表現は,人間が勝手に創造した存在だから,本当に居る訳がない。サイエンスを仮定にいえば,人間は気が遠くなるほどの刻が永れ進化した生き物で有り,此れは真実。けれど此のクソ詰まらない人生は,いい加減飽きた。もし,本当に神様が居たら,其の神様を私は呪うだろう...。

夏美「.....そういえば,私のclassは...。」

ドーン!!!

いきなり夏美の見て要た掲示板が真っ二つに割れ,其の間から男子生徒を蹴飛ばす女子生徒が出て来た。

白黒お嬢様とXTempat cerita menjadi hidup. Temukan sekarang