その日をさかいに二人はますます仲良くなった。買い物へ行こうと誘われても、もう佳奈子は断ったりしない。
その日も学校帰りに律と買い物へ出かけ、気づけば十九時半をまわっていた。
「結構遅くなっちゃった」
「門限は二十時だっけ? そろそろ帰らないとまずいね」
「そういえば、律の家は門限ないの?」
「ないない。僕なんて心配もされないよ」
「じゃあ、良かったら家に泊まっていかない?」
唐突な佳奈子の提案に、「じゃあっていうのはおかしいでしょ」と律が突っ込む。
「別に家が遠いわけでもないし」
「そうなんだけど、一度、律とパジャマパーティーしてみたかったんだよねぇ」
「そうは言っても、いきなりだと佳奈子の家にも迷惑がかかるだろうし」
「平気だよ。中学のときも当日に連れて行ったことあるし」
「いや、でも......」
あまり乗り気ではない様子を見て、「長時間一緒にいるのは苦痛?」と尋ねると、律はあわてたように「まさか」と否定した。
「本当? 良かった。私、律となら長時間いても全然苦痛にならないよ。律って同い年とは思えないほどしっかりしてるし、一緒にいるとなんか落ちつく」
そう言ってまっすぐな視線を向けられた律は困ったように笑うしかない。
「佳奈子にはかなわないな......。じゃあ、お邪魔するよ」
「本当!? やったぁ!」
そうして二人は伊豆原家へと向かった。
初めてのお泊まり会は、修学旅行の夜のように話が尽きず、二人は四時すぎまで語らい続けた。その結果、朝起きられずに、そろって遅刻するハメになったことは言うまでもない。
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Destiny(日本語版)
Короткий рассказこの出会いは偶然だと思ってた――。 過去に縁のあった女子高生2人が時を越えて巡り合う。 この気持ちは友情? それとも愛情? この物語には、女性同士の恋愛を表す場面があります。 物語は短編というジャンルの性質上、一応完結という形はとっていますが、もしかしたら過去編や未来編を書くこともあるかもしれません。 無断転載を禁じます。