翌朝。律はいつもの電車に乗っていなかった。佳奈子が学校につくとすでに律は登校していて、「おはよう」という挨拶だけを残し、佳奈子のもとを去っていく――それは入学式翌日以降の律の態度と同じだった。
「もしかして私たちのせい?」
心配そうに佳奈子の顔を見つめたのは理沙だ。
律と行動することが減り、佳奈子は理沙たちと一緒に行動することが増えたため、そのことで理沙は佳奈子と律の仲を心配しているようだった。
「私たちが柚木さんとの噂を話したから、一緒にいなくなっちゃったの?」
そう言って佳奈子の様子をうかがう由美に、佳奈子はかぶりを振った。
「ううん、そうじゃないよ。私が律を傷つけちゃって......。あの噂は関係ないの」
そう言って佳奈子は律の姿を目で追った。
休み時間、律はいつも一人で行動している。それは誰にも知られないよう一人で苦しみを抱え込む律の姿そのもので、見ている佳奈子まで苦しい気持ちになった。
このままではいけない――そう思うのに、どうしたらいいのかわからず、そのままズルズルと一か月近くが経ったある日。
とうとう佳奈子は決心して、律に声をかけた。
「律、ちょっといい?」
すると、律は少しためらう様子を見せながらもうなずいた。
ČTEŠ
Destiny(日本語版)
Povídkyこの出会いは偶然だと思ってた――。 過去に縁のあった女子高生2人が時を越えて巡り合う。 この気持ちは友情? それとも愛情? この物語には、女性同士の恋愛を表す場面があります。 物語は短編というジャンルの性質上、一応完結という形はとっていますが、もしかしたら過去編や未来編を書くこともあるかもしれません。 無断転載を禁じます。