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「はい、じゃあ授業を終わります!寮生の皆さんは6時までには帰ってきてください。さようならー!」
クラスの中はその合図と共に一斉に動き出す。そして爆発的にうるさくなる。僕も帰る支度をし始めた。校舎を見て回ることにするか。すると誰かが肩をポンと叩いた。
「ん?」
振り向くとキリンがいた(中身はもちろん生身の人間)。
「よう、転校生!俺は黒野星(くろのせい)だ、よろしくな!お前の事はマコツンって呼んでいいか?ツンツンしているからよう、結構似合うと思わねぇ?ちなみに俺の事はブラックスターと呼んでくれ!かっこいいだろ〜。なっ、な?仲良くしようぜ!」
「ああ...よろしくー...」
えー、マコツンの由来は大体わかった。そして「ブラックスター」を省略すると「ブス」になることもわかった。ちなみにこの「ブス」は大手スポーツ会社の息子だ。
「なあなあ、良かったら学校の中を案内してやろうか?」
「ああ、それは助か...」
「そうだ、じゃあ俺の友達もついでに紹介してやんよ!ちなみに俺委員長とも仲良いんだぜ!」
「あっ...」
「んじゃあ、行こう!委員長も連れて行くべ!」
「...」
「何黙ってんだよ!もっと喋れよマコツン!」
キリンうるせぇわ、人の話聞けっての!
「い・い・ん・ちょぉぉぉぉう!!!転校生確保しましたあ!華鈴精、案内するの手伝ってぇぇぇ!!!」
わお。
委員長と呼ばれた人はとても可愛らしい顔立ちをしていた。何故か着ぐるみを着ていなかったので、外見はよく見えた。髪はチョコレート色、瞳は真っ青のオーシャンブルー。髪の先がポワンとカールしていて、長いまつ毛が更に可愛く見える。ただ僕のメモリーの中に彼のデータが無いのが気になるが...。
「ああうん、もちろんいいよ。と言うかそのつもりだったし。よろしくね、奥田君。このクラスの委員長です。何かわからないことがあったらなんでもきいてね。」
「こちらこそよろしく。」
「イエーイ、助かるぅ!やっぱ頼りになるなあ、委員長は!そう思うだろ、マコツン、なあ!」
もう我慢できん!
「黒野君、ちょっとだけ静かにしてくれないかな。」
そう言った途端、黒野は黙った。しかもめっちゃ怖い顔でこっちを睨んできたし。なんで怒ってんの?
「あの...委員長、僕なんか地雷踏んだかな。」
「あー...」
委員長は申し訳ない顔をした。
「星ちゃんはね、自分がお喋りだっていう自覚がないみたいなんだ。だから注意される度に拗ねちゃうんだ。こんなのだけど、根はいいやつのはずだから。」
地雷か...?
「まあ、すぐに元に戻るから。」
「へー。」
「あっ、言い忘れてたけど僕の名前は岡山彗 (おかやますい)だよ。改めてよろしく!」
「ああ、よろしく。」
「それじゃあ、行こっか。星ちゃんは早く片付けて!」
「ういうい」と返事をした黒野は鞄に物を詰め込み始めた。

セレブ校ってどんな設備があるんだろうなー。なんか楽しみだ。

どっと一回恋に落ちWhere stories live. Discover now