「それじゃ姉さん、次はイエス・キリストの方ね」
「ふふ、慌てないでlua。ことわっておくけど、イエス・キリスト(Jesus Christus)に関するイニシャルではないのよ」
「へ? どういうこと?」
「イエス・キリストは、"救世主"とも言われているわよね。つまり、この絵に描かれているのはその"救世主"に関するイニシャルなの」
「キュウセイシュ?」
「そう、"世界の救世主"を意味する『サルバトール・ムンディ(Salvator Mundi)』よ[注20]」
私は、再びノートパソコンを操作して、『サルバトール・ムンディ』の絵画を画面に映し出した。
「この絵は、1500年ごろ、フランスのルイ12世のためにレオナルドが描いたものだそうよ[注20]」< pic27 >
「サルバトール・ムンディか......私、初めて見る絵だけど、この人なんとなく、さっきのサライに似ていない?< pic11 > なんていうか、巻き毛の感じとか」
「『洗礼者聖ヨハネ』や『バッカス』と同じく、こののモデルもサライだったんじゃないかっていう説もあるみたい[注21]」
「へえーそうなんだ。で、姉さんは、この『サルバトール・ムンディ』に関するイニシャルが『モナ・リザ』に描かれていると解釈しているわけね? それはどの部分?」
「ここよ」
私は、『モナ・リザ』の右側に描かれている"曲がりくねった道"の部分を指さした。
「えっ、ここ?」
「そうよ、この"曲がりくねった道"が『サルバトール・ムンディ(Salvator Mundi)』を示す『S』よ」
「S? いや、姉さんちょっとまって、この道の形って「S」の字になっていないよね? なんだか変よ」< pic 28>
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ラ・ジョコンダ
Mistero / Thrillerluiとluaの二人の姉妹 姉のluiが、レオナルド・ダ・ビンチ(Leonardo da Vinci)が描いた名画『モナ・リザ』についてどう解釈したのかを妹のluaに説明していく物語です。