クラス1のモテ男、大貫かいは大貫姉弟の弟である。かいには、一つ上の綺麗なお姉さんがいる。大貫しおん。大貫姉弟は僕達の学校では有名な美男美女姉弟だ。
ある日、僕は見てしまったんだ。大貫姉弟の秘密と、かいへの数々の好意の理由。
僕は放課後校長へ呼ばれていた。理由は言えないけど、通常帰れる時間は3:30なのに僕がこの地獄から開放されたのは5:00だった。誰もいないだろうとゆっくり歩いていたら、まさかの大貫姉弟に遭遇してしまった。しおんさん、今日も綺麗だな。5:00だったからか、かいの取り巻きの女子達は皆帰宅し、しおんさんの取り巻きも帰宅していた。学校から駅へ向かう中、僕はバレないように必死に尾行した。するとしおんさんが止まった。気づかれたと思い、焦った。でもしおんさんは当たりを見回し、駅の近くの駐車場の裏へとかいを連れて走って行った。僕は学校辺りの地図を把握していた(理由は聞かないで)から駐車場を運営している会社の倉庫の上から大貫姉弟の話を盗み聞きした。するとしおんさんが口を開いた。
「かい、わかってるよね?ぜーったいに彼女なんて作っちゃダメだよ...?あんたは私だけの弟なんだから...」
しおんさんってブラコンなの?僕は倉庫の屋根から驚きながら愛用しているミュージックプレイヤーで大貫姉弟の会話を録音していた。
しおん)いい、かい。。。私達の血はいっさい繋がってないの。私とあなたはいつか付き合って結婚する運命なのよ。わかる?
かい)う、うん。ごめんしおん。最近よく女子に囲まれるんだよ。
しおん)全部拒否ってよね?私にはかいしかいないし、かいには私しかいないの。
かい)はい。
しおん)それに、アンタの親父が死んだら財産は全部アンタに行くの。私と結婚して、一緒に素敵に暮らしましょう。うふふ
かい)はい。
かいの「はい」と言う返事はとても暗く、辛そうな「はい」だった。しおんさんはブラコンなんかじゃなくて金目当てのクソ女?どういう事だ。かいのお父さんとしおんさんのお父さんは別人でしおんさんのお父さんとかいのお母さんが再婚したのか。かいはこれでいいのか。この闇に塗れた彼の家族は。次の日の朝、僕はいつも通り早めに学校に着き、屋上に上がろうと思っていたら女子達の声がした。隣のクラスの井合みあこ、同じクラスの安西あいかの声がした。
みあこ)かいってさ、イケメンだし大貫財閥なんだよね!!付き合ったら高いプレゼントとか貰えるのかな!?
あいか)絶対結婚したらめっちゃお金入ってくるよね!
大貫財閥...?しおんさんのお父さんの名字は大貫じゃないのか。女子達がかいに寄り付く理由は顔と知恵と金だった。僕はもう少し探る事にした。
放課後、大貫姉弟を尾行した。かいたちの家の表札には「横田」と書いてあった。僕はそれを写メり逃げるように帰った。横田しおんは大貫かいの財産目当て。きっと「大貫」と言う名字でやっているのも、学校側に良いイメージを与えるためだろう。まぁ、学校側が「株式会社横田コーポレーションズ」を知らなかったらだけど。株式会社横田コーポレーションズは詐欺グループの会社だった。3Dプリンターで軽い安く作れる銃を制作し売りさばいたりしていた。横田コーポレーションズは潰され、横田たみおは横田みすずを見捨て自分だけ逃げてきた。横田みすずはそのまま逮捕され今は牢獄暮らしだとか。
大貫姉弟は闇に溢れていた。誰かかいを助けてあげてよ。僕じゃきっと無理だから。