8-1田村しんいち。彼は至って目立たたない普通の平凡な奴だ。身体は細身で「もやし」と呼ばれるくらいだ。僕はあんまりしんいちと一緒になる事が無く、数学の時間隣に座るくらいだ。しんいちにとりあえず代わる...最近先生が学校の周りをうろついていて尾行ができない。
俺は8-1田村しんいち。俺は...もうこの世界に存在する価値がない。てかもうやだ、人生やめたい。俺にはえいじと言う名前の弟と一人の母がいる。父さん達は離婚してて、自然と俺は何事にも遠慮がちになった。父さんは板前だった。美味しい寿司屋だった。でももう俺は窪田じゃない。田村なんだ。母はお金持ち会長の会長令嬢だった。そのため田村家は広く、家なのにエレベーターがある家に俺は今住んでいる。
母さんにストレスを与えてしまうのが嫌で、俺はあまりわがままを言わなくなった。
でも母さんはずっと弟をひいきしていて、俺は何も言わないから母さんも何もしない。朝5:00に起きてスクールバスに乗って学校へ向かう。それに対して弟は近所の公立に転校したため、7:00までゆっくり寝れるのだ。まぁ、母さんが大金を払って行かせてくれている学校だから、やめたいだなんて言えない。成績も下がっただなんて言えない。こんな事ならいっそ死んでしまいたい。友達と遊んでいても全然楽しくない、笑顔がない。ただ、ただ、細くて地味で、成績の悪い男だ。
親には申し訳ないけど、もう死にたい。これ以上俺に大金を使う前に死なせてほしい。ある日母さんはすごく酔っ払って帰ってきた。弟が起きないよう俺がしっかりと母さんを支えた。その時母さんは言った。
「あーえいじあんたはいい子だねー、しんいちとは大違いだよ」
その言葉が俺の心に突き刺さった。いくら酔っていても流石に実の親にそんな事を言われるとは思ってもいなかった。
俺は部屋に戻り夜中遅くまで何枚も手紙を書いた。お世話になった友達、じいちゃん、そして母さん。遺書的な物も書いた。明日、これをみんなに配ろう。母さん達の分は俺が持ってればいい。「もう、嫌だよ。母さん...さよなら」