家浮さんはいつも何かに真剣に書き込んでいる。でも、普通ではないオーラが解き放たれている。そう、家浮さんはいつも日記を書いている。ニヤニヤしながらペンを滑らせているのだ。その日記は黒くて、そこまで分厚くなく、細身で鍵がついていないタイプの物だ。ある日家浮さんはそれを廊下で落として帰ってしまった。返そうと思ったけど少し興味が湧いて読んでしまった。
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2月4日、2017年
今日、死んだはずの祖父からこのノートを貰った。真っ黒でカバーが固めで日記にするのにちょうど良かったからこれからあなたは私の日記さんだよ。大切にするし、毎日書くね。
2月5日、2017年
日記を書くのが楽しくなってきた。ありがとうおじい。もう2月だよ。バレンタインデーが近づいてきた。今年は血でも入れようかな。それとも皮膚か。うふふ、迷うね。吐いてしまう薬めり込むか、どうしようかな。楽しみだな、バレンタインデー。明日試作品を作ろうかな。
2月6日、2017年
今日はバレンタインの試作品を作った。近所に住むこうじに食わせた。まずいとか言ってトイレに走って家に帰った。なんかムカつく。まずいとか言わなくてもいいのに。
2月7日、2017年
こうじの親からこうじが家に帰ってきてないことを聞いた。あれ?もしかしてこうじ死んじゃった?私のチョコってそんなに強力?てかやばいじゃんこのままじゃ殺人だよ。
2月8日、2017年
こうじが本当にいない。こうじの学校にも訪ねたけどいなかった。まさか本当に死んだのか?このチョコまだあるけど、誰か食べる前に捨てよう。
2月9日、2017年
昨日はあんなこと書いたけど本当は初めからこうじを殺すつもりだったの。だから毒入りチョコは一つしか作ってないよ。愛のこもった死に方、気に入ってくれたかな。チョコで死んじゃった後、ちゃんと身体をバラバラにして、左足を近場の山へ、右足を遠くの海の砂に、頭は高い竹の上になげて、左腕は遊園地の植木に、右腕は学校の花壇に、身体は難破船の錨に繋げたわ。こうじが戻ってくるわけないじゃない。
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あまりにもすごい内容に足がふらついた。家浮さん、人殺しなの...?怖い...これ読んだのバレたら殺されるんじゃないか?今更どうする事もできない、こんな殺人鬼がクラスメイトだなんて信じられない。僕は日記を持って職員室へ向かい、先生に届けた。先生達はそれを読み返し、コピーを撮り校長へと向かった。これでなんとかなる事を願うよ。