そのまま耳たぶを甘噛みされ、理人は思わず「ぁっ……」と声を漏らしてしまった。すると、さらに耳孔をいやらしく舐めくすぐられ、同時にペニスをやわやわと揉まれた。
さっきまでのきつい刺激ですっかり昂ぶっていたそれは、景からの愛撫にさらなる快楽を得てしまう。自然と浅ましく揺れはじめる腰の動きに、景がふっと小さく笑った。
「理人はあいつを憎んでいいんだ」
「っ……でも、俺……っ……」
「最初にこの話を聞いた時……俺は、絶対に許せないって思ったよ 理人も、そう思うだろ」
「……んっ……ァ」
する……と景の手がズボンの中に入ってくる。ほぼ部屋着のまま外に出ていたため、ズボンは
緩めのコットンパンツだ。あっさりと屹立を握り込まれ、びりびりと甘く痺れるような快感を与えられ、理人は思わず腰をしならせた。
「……ふ……すごく硬い。気持ちいい あいつが死んでから、ずっとひとりでヒートを乗り越えて
きたんだろ」
「そ、んなの…… お前に関係ないだろっ……」
「冷たいなぁ、理人は。……これからは、俺がいつでも理人を抱きしめてあげる。オメガ同士なん
だ、俺となら、なんの危険もないんだよ 拒絶反応も出ないしね」
「んっ……」
再び唇を深く覆われ、びくんと身体が小さく跳ねた。景はわざとのように水音を立てながら濃密なキスをして、淫らな動きで理人のそれを慰める。
景の言うように、これまでずっと、理人は自分自身で火照る身体を処理してきた。久方ぶりに感じる誰かのぬくもり、そしてどこまでも巧みな景の手管に、理人はだんだんまともな思考を奪われ始めている。
「ぁ、けいっ……ぁっ、待っ……いっちゃう……出ちゃう、からっ……」
「いいよ、出して ……ねぇ、よく顔を見せて」
「やだっ……見るな、見んなよっ…… ぁ、ぅあ、ッ……んっ、んっ……」
顔を倒して景の目から逃れようとするも、荒っぽい手つきで顎を掴まれ、ぐいと上を向かされてしまう。すぐそばで理人を屠る景の瞳が、うっそりとあやしく細められた。
とろとろと涎を垂れ流す鈴口を親指でいじめられ、なおかつ淫ら極まりないキスで理性を奪われ、徐々に絶頂の気配が近づいてくる。こんなことをしていてはいけない、と頭ではいやいやをするように首を振るが、快楽を貪る腰の動きはどこまでも正直だ。喘ぎを殺しながらもその先をねだる理人の葛藤を嘲笑うように、景はぺろりと赤い唇を舐めた。
「……あぁ、なんていやらしい顔をしてるんだろう。理人のこんな顔を、あいつは何度も何度も見て
きたんだな……」
「ぁ、あっ、けいっ……ぁ、あっ」
「ほら、イっていいんだよ 気持ちいいだろ これまでずっと、よく一人で耐えたね」「ぁ、あぁ……っ やだ、ぁっ……イくっ……イくっ……」
二度、三度と激しく絶頂する理人のペニスからは、たっぷりとした体液が溢れていた。
景がすっとズボンから手を抜くと、どろりとした理人のそれが、景の白い指をねっとりと汚している。
景は理人の目の前であざとらしく指を動かして見せた。すると、指と指の間で、透明な糸がとろんと伸びる。景は理人を見下ろしながら舌を出し、滴り落ちる体液をぬらりぬらりとと舐め取った。
羞恥のあまり顔を背けようとしたけれど、恍惚とした景の表情から目が離せなかった。
理人の体液をさもうまそうに味わいながら、景は形のいい唇を釣り上げて、婉然と微笑んだ。
「……あぁ……甘いなぁ……」
「景……お前……どうしちゃったんだよ……。昔のお前は、こんな……」
はぁ、はぁと呼吸を整えながら、理人は過去に縋るような想いで景に問いかけた。すると景は笑みを浮かべたまま、するりとジャケットを脱ぎ捨てる。